近年、相続税を納付した相続人等の数が増加基調で推移しています。2015年1月1日の相続税改正における基礎控除(額)の縮小などによって課税対象者のさらなる増加が見込まれています。また、土地や建物等の不動産が相続財産価額の半分以上を占めており、相続を円滑に進める上で、今後は事前の相続対策等が一層重要になるものと思われます。以下、相続に関する近年の概況と、既往調査に基づく相続対策等の意識についてご紹介します。

被相続人、相続人数は2005 年以降増加基調。相続財産の中で不動産は大きなウエイトを占めている。

国税庁の統計によれば、相続税を納付した相続人の数と、財産を相続させた被相続人の数は、いずれも2005年から概ね増加基調で推移しています[図表1]。
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相続人が取得した財産価額は、2014年の全国合計で「宅地」が約3.8兆円となっており、「現金・預貯金等」(約3.3兆円)、「有価証券」(約1.9兆円)となっています[図表2]。
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相続人が取得した財産価額の財産種類別の構成比をみると、2014年の「土地・建物合計」(「宅地」、「田畑・山林・他の土地」、「家屋・構築物」の合計)が相続財産価額全体の半分以上(47%、約6兆円)を占めており、相続財産の中で不動産は依然として大きなウエイトを占めています[図表3]。
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2015年1月1日の相続税改正における基礎控除(額)の縮小等によって、例えば大都市圏都心部に自宅不動産を所有しているケースなどをはじめとして課税対象者の増加が見込まれています。
これらの背景から、相続を円滑に進める上で、今後は事前の相続対策等が一層重要になるものと思われます。

データ出所:図表1〜3は、国税庁「統計情報:相続税(各年分)」

相続対策をしている人は1割程度。未実施の人のうち3割以上は対策が必要と感じている。

一般社団法人信託協会が全国の40歳以上の人を対象に実施した「相続に関する意識調査」では、相続財産を残す立場としての自分の財産の把握状況や相続対策実施の有無などについて、以下のとおり分析されています。

相続財産を残す立場として、自分の財産の内訳と価額を「すべて把握している」人は全体の2割程度にとどまっています[図表4]。
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また、全体の約9割は自分の財産の「相続対策をしていない」としており、相続対策をしている人は1割程度です[図表5]。
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「相続対策をしている」人が実施している相続対策の具体的内容として最も割合が高いのは「生前贈与」(5割強)、次いで「生命保険の活用」、「遺言書の作成」、「納税資金の確保」、「不動産の購入」の順となっています[図表6]。
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相続対策を実施していない場合、そのうち3割以上の人が対策の必要性を感じており[図表7]、対策の具体的内容としては主に「生前贈与」、「遺言書の作成」などが必要、としています[図表8]。
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(以上、都市未来総合研究所 池田英孝)

データ出所:図表4〜8は、(一社)信託協会「相続に関する意識調査」
(同調査は全国の、子供のいる40歳以上の既婚者を対象に、相続の経験や今後の可能性、相続対策の実態、相続税等改正論についての意識などを把握して、今後の施策づくりへの一助とする目的で、2014年5月に実施した調査。(回収数3,927)
各図表における( )内の回答者数は、国勢調査の性別、年代の構成比による補正前の数値。)

今後、相続財産を受け取る可能性と、相続対策実施の有無などについて

(一社)信託協会が全国の40 歳以上の人を対象に実施した前掲の「相続に関する意識調査」によれば、今後、相続財産を「受け取る可能性がある」人は全体の45%と半数近くに上ります。40代、50代では「受け取る可能性がある」人の割合が男女いずれも6割前後と高くなっています[図表9]。
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「受け取る可能性がある」人の半数は相続対策を実施することの必要性を感じています[図表10]。
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また、「受け取る可能性がある」場合、実際に相続対策を「してもらっている」人は約2割で[図表11]、対策の内容は「生前贈与」が6割以上、次いで「生命保険の活用」、「遺言書の作成」、「不動産の購入」などの順となっています[図表12]。

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データ出所: 図表9〜12は、(一社)信託協会「相続に関する意識調査」